飼い主がこちらに来て驚いたのは、ペットショップにわんちゃんやねこちゃんがいないということでした。というか、ペットショップ(厳密にはペットサプライ・ストア)なのに「Adoption Day(譲渡会)」の場所を提供するんです。
ペットサプライ・ストアでは、あくまでもフードやおもちゃ、その他ペット関連グッズを販売するだけ。店内には一切の生き物がいないのですよ。(たまに、熱帯魚や爬虫類に限って店内販売しているペットサプライ・ストアもあります)
飼い主がナナさんのごはんを購入するショップも、1ヶ月に1回くらいの割合でねこちゃんのAdoption Dayを開いています。しかも新しい飼い主さんには、感謝の気持ちを込めてねこちゃんのごはん付き!(ショップからの寄付)
州内の大手ペットショップチェーンでも、子犬や子猫の生体販売を中止し、パピーミル(ペットショップにわんちゃんを卸す繁殖業者、仔犬工場とも呼ばれます)撲滅キャンペーンに協力しています。
我が家のすぐ近所の大手ペットショップ、
mondou、
Mon Ami、
Global Pet Foodsなんかでも、店内にわんちゃん&ねこちゃんはいませんョ。確かに、わんちゃん&ねこちゃんを販売している
ペットショップもあるのですが、うちの地域には1店舗もありません。
すごいところは、ペットショップでの生体販売を法律で一切禁止している街まであるんです。ケベック州は全面禁止ではありませんが、市町村主催のPet Adoption Dayもよく見かけます。
そういう状況のため、飼い主はナナさんをペットショップから購入するという選択肢がありませんでした。(だって、パグが販売されていないんだもの・・・)
ナナさんの時には、ブリーダーさんを探してウェイティング・リストの順番を待ってから面接をして・・・10ヶ月くらいかかりました。(今回のちびパグちゃんも1年ほどウェイティングでした)
ナナさんが生まれたブリーダーさんは、ヒートのたびに子供を生ませることはしない、自分たちのパグは絶対にペットショップには販売しない、そして新しい飼い主さんは自分たちで責任を持って審査する、という信念の持ち主です。
やっと順番がまわってきても、ブリーダーさんとの面接をパスするまではパグちゃんを迎えられません。飼い主の仕事(パピーを1日中留守番させないよう仕事を抜けられるか?わんこが病気になった時には会社を休めるのか?)、家族構成(アレルギーはないか?他の家族はわんこが好きか?)、住環境(庭はあるのか?フェンスはあるのか?)、他のペットの有無、犬を飼った経験の有無、どうしてパグを選んだのか?などなど質問されます。飼い主はこのためにアレルギーテストも行いましたが、断られたらどうしよう・・・と緊張は極限でした。
我が家のブリーダーさんのもうひとつの特徴は、新しい飼い主さんたちにわんちゃんを選ばせません。(女の子か男の子か、フォーンかブラックかの希望は聞いてくれます)パグちゃんだって社交的な子、カウチポテトな子、活発な子・・・といろいろですよね?ブリーダーさんがこちらと話をした後で、新しい家族のライフスタイルに合うような性格のパグちゃんはこれ!と指定されます。自分でわんこを選べないということに賛否両論あるかもしれませんが、これは「こんなはずじゃなかった・・・」という飼い主とわんことのミスマッチングをなくすためだそうです。
しかし、まだここで喜んではいけません。獣医さんのチェックアップが残っています。(しかも数回)ここで健康に問題があると診断されると、パグちゃんはブリーダーさんのところで生涯をすごします。
最終的にパグちゃんにはマイクロチップを入れ、こちらも契約書にサインします。飼えなくなった時にはブリーダーさんに返すこと(彼らが最後まで責任を持つ)、去勢・避妊の誓約などです。
うちのブリーダーさんが神経質すぎると思いますか????
お隣のオンタリオ州にも
Under My Wingというパグレスキュー団体がありますが(カナダ版ふがれす?)、こちらもだいたい同じようなプロセスです。以下の条件をクリアしてから申込書を提出し、書類審査に通った人のみ面接に進みます。
・オンタリオ州もしくはケベック州在住であること。
・自宅にエアコンがあること、もしくは購入すると約束できること。(こちらは日本のような猛暑ではないので、エアコンのないお宅もあります)
・庭にプールがあるお家は、(パグが溺れないよう)フェンスを作ること。(カナダはお庭にプールのあるお家も多いため)
・庭にパグをつながないこと。
・外では、必ず誰かの監視下に置くこと。
・必ず室内で家族として飼うこと。ガレージで飼うことは不可。
・一戸建の場合は、庭はフェンスで囲われていることが望ましい。電気フェンスは不可。
・マンションの場合には、ペット可物件であることを証明すること。
・8時間以上留守にする場合には、誰かに面倒をみてもらうこと。トイレを8時間以上我慢させないこと。(カナダのわんちゃんは、小型犬でもほぼ外トイレです)
・クオリティの高いフードを与えること。最低でも穀物フリーのフードを与えること。
・先住犬がいる場合には、必ず先住犬を去勢もしくは避妊させること。(レスキューから来る子は全員が手術済みです)
正直なところ、我が家はナナさんをブリーダーさんから迎えたために、差別されることがあるのも事実です。公園で会う人たちからは「え?????レスキューじゃないの?(ありえなくね?)」とよく言われます。レスキューの素晴らしさ、ブリーダーさんからわんこを迎えることに対するお説教・・・(ペットショップから迎えるという選択肢は彼らにはなし)としばらく続きます。(飼い主のオトモダチもブリーダーさんからわんこを迎えましたが、同じように散歩仲間たちからお説教されると言っていました)
2匹目もブリーダーさんから迎えるというと、またまた尋問くらうよなぁ。
でも、そういう話が日常的に出るということは、みなさんそれだけ動物愛護に関心があるということですね。
※この記事は、ペットショップからパグちゃんを迎えた方をどーーのと言う意味ではありません。飼い主も実家で子供の頃に飼っていたわんこは、ペットショップから迎えました。この記事は一般論として、カナダのペットショップにはわんこがいない!という話です。
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無題
2014/02/08(Sat)14:16
何て表現していいか分かりませんが…命の取引…ですもんね…。
愛する子には幸せになってほしい。だからこそ家族になるであろう相手には自ずと条件が厳しくなっていきますよね。
ブリーダーさんが子犬を選ぶっていうのには驚きました!!
勉強になるわぁ。Shortyさん、ありがとです!また読み返そう(*≧∀≦*)
No.1|by タエマル|
URL|Mail|EditRe:無題
2014/02/09(Sun)06:27
日本はまだまだペットショップでわんちゃんを買うのが普通ですよね?こっちはペットショップでわんちゃんを買うという考えが、最初からみんなの頭の中にないような気がします。(そもそも動物が売られてないから買えないけど・・・)
わたしのお世話になっているブリーダーさんは、ある意味自分の子供を養子に出すような感じなのかなぁ?と。命の取引ってその通りですよね。頻繁に、どうしてる?というメールが来るし、写真もどんどん送ってほしいと言われます。巣立ったわんこの誕生日はもちろん誰がいま何歳だとか、ぜんぶ記憶していてすごいなぁと思います。
わたしもナナさんの時に「ウェイティングリストの一番上」と言われたので、「じゃあ、いつ子犬を選びに行けばいいの?」と聞いたら「選べません」って。なんだそれはー????と思ったけど、いろいろ話を聞いて納得しました。だから、今回のちびパグちゃんも選んでないんです。
他にもお国の違いがあると思うので、思いついたらまた書きますね!